大判例

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東京高等裁判所 昭和60年(う)1707号 判決

被告人 太田重光

〔抄 録〕

本件犯行現場は、神奈川臨海鉄道株式会社塩浜操駅機関区構内であって、現場付近は幅員約五メートルの道路に沿って鉄線垣があり、その垣内が同機関区となっている。構内の機関車倉に接してコンクリートで囲った廃品置場があり、被告人らが窃取したピストンはここに他の鉄屑等と一緒に野積みされていた。被告人ら三名は前記鉄線垣の下をくぐって同構内に入り、廃品置場に置かれていたピストン一一個のうち二個を柵外の道路の反対側に、二個を柵外の道路手前側(柵下付近)に、六個を柵内の柵下付近まで運び、原審相被告人安次嶺弘が残る一個を持って廃品置場と鉄線垣との中間にある線路付近まで来たところ、人が来たためピストンを持ったまま引き返し、機関車倉に隣接した物品倉庫の前に隠れたが発見され逮捕されるに至った。なお、柵内の柵下におかれたピストン六個については柵外の道路の方から容易にとり出すことができ、被告人らは道路側からこれらを取り出し柵外に持ち出したものと一緒に自転車又はリヤカーに積んで持ち去る意図であった。

以上の事実に基づいて考えると、前記機関区の柵外まで持ち出されたピストン四個については勿論、柵内の柵下まで持ち出されたピストン六個についても、すでに被告人らの事実上の支配下に移されたものというべく、窃盗は既遂に達したものと認められるが、原審相被告人安次嶺の逮捕時に所持していたピストン一個については未だ被告人らの事実上の支配下に移されたものとはいえず、窃盗未遂に止まるものと認められる。

(海老原 小田 阿部)

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